退職金の振込タイミングを確認する方法は?手取り額や相談先もわかりやすく解説

退職金は、退職後の生活費や住宅ローン返済、資産運用の原資になるまとまったお金だ。だからこそ「いつ振り込まれるのか」「手取りはいくらになるのか」「税金や社会保険料はどう扱われるのか」を早めに確認しておく必要がある。

結論からいうと、退職金の振込タイミングは全国一律ではない。会社の就業規則や退職金規程、企業年金の制度内容、退職時の手続き状況によって変わる。

この記事では、退職金の支払い時期の確認方法、受け取り方法、税金・社会保険料の注意点、相談先の選び方を解説する。退職前後の資金計画を立てる際の参考にしてほしい。

目次

退職金の振込タイミング|支払い時期は就業規則・退職金規程で確認する

退職金を退職後の生活設計の原資にする場合、まず確認すべきなのは「退職金がいつ振り込まれるか」だ。

退職金は、退職日当日に必ず振り込まれるものではない。多くの場合、退職後に社内承認や金額計算、税務書類の確認、外部機関との手続きなどを経て支払われる。

そのため、退職前に「支給予定日」「振込先」「必要書類」「税引後のおおよその手取り額」を確認しておくことが大切だ。

退職金の支払い時期は会社ごとの規程で決まる

退職金の支払い時期は、会社の就業規則や退職金規程で定められている。退職金制度は法律上必ず設けなければならないものではないが、制度を設ける場合は、支給対象者、支給要件、計算方法、支払方法、支払時期などを就業規則に記載する必要がある。

つまり、退職金の振込日を知りたい場合は、一般論よりも自分の勤務先の規程を確認することが最も確実だ。

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確認する項目確認する場所見るべきポイント
退職金制度の有無就業規則・退職金規程自分が支給対象に含まれるか
支払い時期退職金規程・人事部の案内退職日から何日後・何カ月以内に支払われるか
支払方法退職金規程・退職手続き書類銀行振込か、企業年金経由か
必要書類人事部・総務部退職所得の受給に関する申告書、振込口座、企業年金関連書類など
税引後の手取り退職金試算書・源泉徴収票所得税・住民税が差し引かれた後の金額

民間企業では退職月の翌月以降に支払われるケースもあるが、会社ごとの規程や手続きの進み方によって異なる。公務員の場合も所属先の退職手当制度により扱いが異なるため、勤務先の担当部署で確認しよう。

企業ごとに退職金の振込タイミングが違う理由

退職金の振込タイミングが企業ごとに異なる理由として、主に次のようなものがある。

  • 退職金規程で定めている支払い時期が会社ごとに違う
  • 勤続年数、退職理由、役職、退職金ポイントなどの確認に時間がかかる
  • 企業年金や外部機関を通じて支払われる場合、別途手続きが必要になる
  • 退職所得の受給に関する申告書など、税務書類の確認が必要になる
  • 最終給与、貸与品、未精算金などの退職時手続きとあわせて処理される

退職金は金額が大きく、税務処理も必要になるため、通常の給与よりも支払いまでに時間がかかることがある。

退職日が近づいたら、人事部や総務部に「退職金の支給予定日」「手続きの進捗」「不足書類の有無」を確認しておくと安心だ。

退職金の振込が遅れている場合の対処法

退職金の振込が予定より遅れている場合は、感情的に問い合わせるのではなく、まず規程と事実関係を確認しよう。

なお、退職後の賃金は労働者から請求があった場合、原則として7日以内に支払う必要がある。一方で、退職金は就業規則等で支払時期が定められている場合、その定められた時期に支払えばよいとされている。給与と退職金では扱いが異なる点に注意が必要だ。

  1. 就業規則や退職金規程で、支払い時期を確認する。
  2. 人事部・総務部に、遅れている理由と支払い予定日を確認する。
  3. 確認内容はメールやメモで記録に残す。電話で確認した場合も、日時・担当者名・回答内容を控える。
  4. 規程上の支払い時期を過ぎても支払われない場合は、書面やメールで支払いを求める。
  5. 解決しない場合は、労働基準監督署、総合労働相談コーナー、弁護士などへの相談を検討する。

退職金の入金を前提に生活費やローン返済を組んでいると、支払いが遅れたときに資金繰りが苦しくなる可能性がある。退職前から、少なくとも数カ月分の生活費を別で確保しておくと安心だ。

退職金の受け取り方法|一時金・年金・併用の違いを確認する

退職金の受け取り方法は、大きく分けると「退職一時金」と「退職年金」がある。制度によっては、一部を一時金で受け取り、残りを年金として受け取る併用型を選べる場合もある。

どの方法を選べるかは勤務先の退職金制度や企業年金制度によって異なるため、退職前に選択肢を確認しておこう。

退職一時金制度|まとまった資金を一括で受け取れる

退職一時金制度は、退職時にまとまった退職金を一括で受け取る方法だ。住宅ローンの繰上げ返済、退職後の生活費、医療・介護への備え、資産運用の原資などに使いやすい。

税制面では、退職一時金は原則として退職所得として扱われる。勤続年数に応じた退職所得控除があり、長く働いた人ほど税負担を抑えやすい仕組みになっている。

ただし、一括で大きなお金を受け取るため、使い道を決めないまま預金口座に置いておくと、想定以上に早く使ってしまうこともある。受け取る前に、次のように資金を分けて考えると管理しやすい。

  • 退職後1〜2年の生活費
  • 税金・住民税・健康保険料など退職後に発生する支払い
  • 住宅ローンや借入金の返済に充てる資金
  • 医療費・介護費・住宅修繕費など将来の備え
  • 余裕資金として運用に回す金額

退職年金制度|定期的に受け取れるため生活費に組み込みやすい

退職年金制度は、退職金や企業年金を一定期間または終身で定期的に受け取る方法だ。毎月または一定期間ごとの収入として受け取れるため、退職後の生活費に組み込みやすい。

税制面では、企業年金などを年金として受け取る場合、公的年金等控除の対象となることがある。一方で、年金収入として毎年の所得に含まれるため、公的年金や他の収入との合算で税負担が変わる点に注意が必要だ。

また、退職年金の受給期間、受給額、途中で一時金に変更できるかどうかは制度によって異なる。勤務先の規約や企業年金の案内を確認しよう。

一時金と年金で迷ったら、税金だけでなく資金計画で比較する

一時金と年金のどちらが有利かは、退職金額、勤続年数、公的年金の受給額、住宅ローンの有無、家族構成、運用方針によって変わる。税金だけで判断せず、生活費や将来の支出も含めて比較しよう。

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受け取り方法主な特徴確認したいポイント
一時金まとまった資金を一括で受け取れる退職所得控除、使い過ぎ、運用リスク
年金定期収入として受け取れる公的年金等控除、受給期間、公的年金との合算
併用一部を一時金、残りを年金で受け取れる制度上選べるか、税金と生活費のバランス

退職金をすぐに使う予定がある人は一時金の必要性が高い。一方、毎月の生活費を安定させたい人は年金受け取りが合う場合もある。

受け取り方によって税金や将来の資金計画が変わるため、退職前にシミュレーションしておくことが重要だ。

退職金に関する注意点|税金・社会保険料・相続・離婚の扱い

退職金の税金や注意点を確認するイメージ

退職金は、受け取った金額がそのまま自由に使えるとは限らない。所得税・住民税、退職後の社会保険の手続き、相続や離婚時の扱いなど、確認すべき点がある。

特に税金の扱いは誤解しやすいため、退職前に退職金の見込み額と税引後の手取り額を確認しておこう。

税金の扱い|退職金は「一時所得」ではなく「退職所得」として計算する

退職金は、原則として「退職所得」として所得税・住民税の対象になる。給与所得や一時所得とは計算方法が異なり、勤続年数に応じた退職所得控除が使える。

一般的な退職所得の金額は、次の式で計算される。

退職所得の金額=(退職金の収入金額−退職所得控除額)×1/2

退職所得控除額は、勤続年数によって次のように計算する。

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数
※80万円未満の場合は80万円
20年超800万円+70万円×(勤続年数−20年)

例えば、勤続30年の場合の退職所得控除額は、800万円+70万円×10年=1,500万円となる。退職金が1,500万円以下であれば、退職所得の金額は原則として0円になる。

ただし、役員等としての勤続年数が5年以下の場合や、短期勤続年数に対応する退職金を受け取る場合、前年以前に退職金や確定拠出年金の一時金を受け取っている場合などは計算が異なることがある。

また、会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合、退職金の支払金額に対して20.42%の所得税および復興特別所得税が源泉徴収される。その場合は、確定申告で精算する必要がある。

社会保険料の扱い|通常の退職一時金は原則として対象外

退職金には所得税や住民税がかかる場合があるが、通常の退職時に一時金として支払われる退職金は、健康保険・厚生年金保険料の報酬や賞与としては扱われないのが原則だ。

一方で、在職中に退職金相当額を給与や賞与に上乗せして前払いする制度では、労働の対償として報酬または賞与に該当する場合がある。この場合は社会保険料の扱いが変わるため、勤務先に確認が必要だ。

なお、退職金そのものの社会保険料とは別に、退職後は健康保険や年金の加入手続きが必要になる。国民健康保険、任意継続、家族の扶養、国民年金など、退職後の加入先もあわせて確認しておこう。

退職金の計算方法|金額は会社の規程で決まる

退職金の金額は、会社の退職金規程や企業年金制度によって決まる。法律で共通の計算式や上限額が定められているわけではない。

一般的には、次のような要素をもとに計算されることが多い。

  • 勤続年数
  • 退職時の基本給や役職
  • 自己都合退職・会社都合退職・定年退職などの退職理由
  • 退職金ポイントや等級
  • 企業年金や確定拠出年金の制度内容
  • 不支給・減額事由に該当するかどうか

退職前に見込み額を知りたい場合は、会社に退職金の試算を依頼できるか確認しよう。退職金の見込み額が分かれば、税金や受け取り方、運用方針を検討しやすくなる。

相続や離婚時の退職金の扱い

相続や離婚の場面では、退職金の扱いが複雑になる。金額が大きくなりやすいため、早めに専門家へ相談することが大切だ。

  1. 相続時
    被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した死亡退職金は、相続税の課税対象になる。相続人が受け取る場合は、500万円×法定相続人の数まで非課税限度額が設けられている。ただし、相続人以外が受け取る場合は非課税の適用がないため、税理士や税務署に確認しよう。
  2. 離婚時
    退職金は、婚姻期間中の夫婦の協力によって形成された部分について、財産分与の対象となる場合がある。すでに支給されているか、まだ支給されていないか、支給される確実性が高いかによって扱いが変わる。

    例えば、退職金が2,000万円、勤続期間が40年、婚姻期間と勤務期間が重なる部分が20年の場合、婚姻期間に対応する部分の目安は2,000万円×20年÷40年=1,000万円となる。ただし、実際の分与額や計算方法は個別事情で変わるため、弁護士に相談するのが安心だ。

相続や離婚では、退職金そのものの金額だけでなく、誰が受け取るか、いつ支給が確定したか、婚姻期間と勤務期間がどの程度重なるかなどが問題になる。一般論だけで判断せず、専門家に確認しよう。

退職金に関する相談先|悩みの内容に合わせて専門家を選ぶ

退職金は、支払い時期、税金、社会保険、運用、相続など複数の論点が関わる。相談先は、悩みの内容によって分けて考えるとよい。

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相談したい内容主な相談先確認できること
退職金の支払い時期・未払い会社の人事部・総務部
労働基準監督署
総合労働相談コーナー
弁護士
規程上の支払い時期
未払い時の対応
請求方法
退職金の税金税務署
税理士
退職所得控除
確定申告
相続税
退職後の健康保険・年金年金事務所
市区町村
社会保険労務士
国民年金
国民健康保険
任意継続
扶養
退職金の運用・生活設計FP
J-FLEC認定アドバイザー
IFA
資産配分
ライフプラン
金融商品の選択肢

税金や法律の個別判断は、税理士や弁護士など資格を持つ専門家の領域だ。一方、退職金をどのように管理・運用するかは、FPやIFAなどに相談できる場合がある。

IFAとは|資産運用の提案や金融商品の仲介を行う専門家

IFAは、独立系ファイナンシャル・アドバイザーと呼ばれる資産運用の専門家だ。日本では主に、金融商品仲介業者として、証券会社や登録金融機関から委託を受け、有価証券の売買の媒介などを行う人や法人を指す。

IFAは、顧客のライフプランやリスク許容度を踏まえて、金融商品の選定や運用方針について助言し、売買の実行支援を行うことがある。退職金のように大きな資金を受け取った後、どの程度を生活費として残し、どの程度を運用に回すかを考える際に相談先の一つになる。

ただし、IFAが扱える商品や報酬体系は所属先・契約先によって異なる。相談する前に、金融商品仲介業者としての登録、提携している金融機関、手数料や報酬、提案できる商品の範囲を確認しておこう。

IFAに相談するメリットと確認すべきポイント

退職金の運用についてIFAに相談するメリットは、退職金だけでなく、預貯金、NISA、iDeCo、保険、公的年金などを含めて資産全体の配分を相談しやすい点だ。

また、退職後は収入や支出の形が変わる。運用を始める前に、生活費として残す金額、短期で使う予定のある資金、長期運用に回せる資金を分けることが重要だ。IFAはこうした資金配分の考え方についてアドバイスできる場合がある。

一方で、金融商品の運用には元本割れのリスクがある。退職金は老後資金の中心になることも多いため、「高利回り」「必ず増える」といった説明には注意し、リスクや手数料の説明が十分かを確認しよう。

  • 金融商品仲介業者として登録されているか確認する
  • 手数料や相談料、報酬の仕組みを確認する
  • 提携している証券会社・金融機関を確認する
  • 元本保証ではない商品について、リスク説明が十分か確認する
  • 担当者変更や定期面談など、継続フォローの体制を確認する

IFAは退職金運用の相談先の一つだが、すべての悩みを一人で解決できるわけではない。税金は税理士、法律問題は弁護士、社会保険は社会保険労務士など、必要に応じて専門家を使い分けよう。

退職金の振込タイミングは規程で確認し、受け取り方と税金まで整理しよう

退職金の振込タイミングは、会社の就業規則や退職金規程によって決まる。退職後すぐに入金されるとは限らないため、退職前に支給予定日、必要書類、税引後の手取り額を確認しておこう。

退職金の受け取り方法には、一時金、年金、併用がある。まとまった資金が必要な場合は一時金が向いているが、生活費として安定的に受け取りたい場合は年金受け取りも選択肢になる。どの方法を選べるかは勤務先の制度によって異なる。

税金面では、退職金は原則として退職所得として扱われる。退職所得控除により税負担が軽くなる場合がある一方、退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合は源泉徴収や確定申告の扱いが変わるため注意が必要だ。

退職金は老後資金の土台になる。支払い時期、受け取り方、税金、社会保険、運用方針を早めに整理し、必要に応じて会社の担当部署や専門家に相談しよう。

退職金の運用や相談先を比較したい場合は、以下のボタンから確認できる。

出典

厚生労働省「モデル就業規則」
広島県「4-12 退職した場合も賃金は通常の支払日に支払われるのか|労働相談Q&A」(公開日:2022年4月6日)
国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」
国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」
国税庁「No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金」
厚生労働省「いわゆる退職金の前払いに係る社会保険料の取扱いについて」
厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」
大阪労働局「退職金等について」
厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「独立系ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)」
日本証券業協会「金融商品仲介業者」
金融経済教育推進機構 J-FLEC「専門家に相談したい」
法務省「財産分与制度に関する論点の検討」

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執筆者

退職金の相談相手 検索サービス「退職金ナビ」を運営する。
「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンにIFA業界のプラットフォームとして、総合コンサルティング事業を展開している。

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