退職金の支給条件は?何年目からもらえる?詳細ガイドで不安解消

「今の会社に何年いれば退職金が出るのか」「自己都合退職でももらえるのか」と不安に感じている方は多いでしょう。

結論からいうと、退職金が何年目からもらえるかは法律で一律に決まっていません。退職金制度を設けるかどうかも、何年以上勤続した人を対象にするかも、基本的には会社の退職金規程や就業規則によって異なります。

ただし、厚生労働省の令和5年就労条件総合調査では、退職一時金の受給に必要な最低勤続年数を「3年以上4年未満」とする企業が最も多く、会社都合退職で45.9%、自己都合退職で57.0%でした。

つまり、一般論としては勤続3年前後がひとつの目安になります。ただし、1年未満から対象になる会社もあれば、5年以上勤めないと対象にならない会社もあるため、最終的には自社の退職金規程を確認することが重要です。

この記事では、退職金は何年目からもらえるのか、確認すべき規程、計算方法、退職前に損をしないための注意点をわかりやすく解説します。

目次

退職金とは?何年目からもらえるかは会社の退職金規程で決まる

退職金制度の基本を確認するイメージ

退職金とは、従業員が退職するとき、または退職後に会社や制度から支給されるお金のことです。退職時にまとめて受け取る退職一時金のほか、退職後に年金形式で受け取る退職年金、企業年金、退職金共済などがあります。

退職金は、老後資金や転職時の生活資金に関わる大切な資産です。一方で、給与のようにすべての会社で必ず支払われるものではありません。

「勤続3年だから必ずもらえる」「正社員なら必ず対象になる」と思い込まず、まずは自分の勤務先に退職金制度があるか、支給対象になる条件を満たしているかを確認しましょう。

退職金制度は法律で一律に義務づけられていない

退職金制度は、会社が必ず設けなければならない制度ではありません。退職金制度がない会社であっても、それだけで違法とはいえません。

ただし、就業規則・退職金規程・労働契約・労働協約などで退職金の支給条件や支払方法が定められている場合、会社はその内容に従って支払う必要があります。

また、常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成・届け出る必要があり、退職手当の定めをする場合は、次のような事項を就業規則に記載する必要があります。

  • 退職金の対象となる労働者の範囲
  • 退職金の決定方法・計算方法
  • 退職金の支払方法
  • 退職金の支払時期

退職金があるかどうかを判断するときは、口頭の説明だけでなく、退職金規程や就業規則の記載を確認することが大切です。

退職金制度の主な種類

退職金制度は会社によって異なりますが、大きく分けると次のような形があります。

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制度の種類主な内容確認ポイント
退職一時金制度退職時に一括して退職金を受け取る制度最低勤続年数、計算方法、支払時期
退職年金制度退職後、一定期間または生涯にわたって年金形式で受け取る制度一時金選択の可否、受取開始時期
企業年金・共済制度確定給付企業年金(DB)、企業型確定拠出年金(企業型DC)、中小企業退職金共済制度など加入状況、移換手続き、請求方法
業界別の共済制度建設業退職金共済制度(建退共)など、業界に応じた制度勤務先だけでなく、業界制度への加入状況

厚生労働省の令和5年就労条件総合調査では、退職給付制度がある企業割合は74.9%でした。退職給付制度がある企業のうち、制度の形態は「退職一時金制度のみ」が69.0%、「退職年金制度のみ」が9.6%、「両制度併用」が21.4%です。

自分の会社がどの制度を採用しているかによって、受け取り方や退職時の手続きが変わります。

退職金の支給対象者は「雇用形態」ではなく規程で確認する

退職金の支給対象者は、会社の退職金規程で決まります。正社員だけを対象にする会社もあれば、契約社員・パート・嘱託社員などに別の慰労金制度を設けている会社もあります。

確認するときは、次の項目を見ておきましょう。

  • 退職金制度そのものがあるか
  • 自分の雇用形態が支給対象に含まれているか
  • 最低勤続年数を満たしているか
  • 自己都合退職・会社都合退職・定年退職で扱いが違うか
  • 懲戒解雇などによる不支給・減額事由があるか
  • 退職金の支払時期がいつになっているか

特に「勤続年数」は、支給対象になるかどうかだけでなく、支給額にも大きく影響します。

会社ごとの違いと退職前の注意点

例えば、退職金規程に「勤続3年以上の従業員に支給する」と定められている会社では、勤続2年11か月で退職すると対象外になる可能性があります。

また、休職期間や育児休業期間を勤続年数に含めるか、試用期間を含めるか、死亡退職金や功労金の扱いをどうするかも、会社ごとに異なります。

退職予定日を決める前に、退職金規程で「いつの時点で勤続年数を判定するのか」を確認しておきましょう。数週間の違いで支給対象になるかどうかが変わるケースもあります。

退職金は何年目から?令和5年調査では「3年以上4年未満」が最多

退職金がもらえる勤続年数を確認するイメージ

退職金がもらえる年数は会社ごとに異なりますが、公的統計を見ると、ひとつの目安は「勤続3年」です。

退職一時金の最低勤続年数は3年以上4年未満が最も多い

令和5年就労条件総合調査では、退職一時金の受給に必要な最低勤続年数について、会社都合退職・自己都合退職ともに「3年以上4年未満」が最も多くなっています。

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最低勤続年数会社都合退職自己都合退職
1年未満12.4%4.5%
1年以上2年未満18.3%12.7%
2年以上3年未満8.0%9.3%
3年以上4年未満45.9%57.0%
4年以上5年未満2.5%2.8%
5年以上9.9%12.0%

調査結果から見ると、退職金は「3年以上勤めれば対象になりやすい」といえます。ただし、1年未満から支給対象になる会社もあれば、5年以上を条件にしている会社もあります。

そのため、退職金を確実に確認したい場合は「一般的には3年」と覚えるだけでなく、勤務先の退職金規程に書かれた最低勤続年数を確認しましょう。

※構成割合は四捨五入等により、合計が100%にならない場合があります。

1年未満・3年未満で退職する場合の注意点

勤続年数が短い場合、退職金が支給されない、または支給されても少額にとどまる可能性があります。

特に自己都合退職では、会社都合退職より最低勤続年数が長く設定されていることがあります。転職を考えている場合は、退職予定日が最低勤続年数を満たす前になっていないか確認してください。

例えば、規程上の最低勤続年数が「3年以上」の場合、入社日から3年に達する前に退職すると対象外になる可能性があります。退職日を決める前に、人事・総務部門へ退職金の試算を依頼しておくと安心です。

企業規模によって退職金制度の導入割合は異なる

退職金制度の有無は、企業規模によっても違いがあります。令和5年就労条件総合調査では、退職給付制度がある企業割合は次の通りです。

企業規模退職給付制度がある企業割合
1,000人以上90.1%
300〜999人88.8%
100〜299人84.7%
30〜99人70.1%

規模が大きい企業ほど退職給付制度がある割合は高い傾向があります。ただし、中小企業でも中小企業退職金共済制度などを利用して退職金制度を設けているケースがあります。

「中小企業だから退職金はない」「大企業だから必ず十分にもらえる」と決めつけず、自社の制度内容を確認しましょう。

業界制度や労働組合が関係する場合もある

業界によっては、会社単位の退職金制度とは別に、業界全体の共済制度がある場合があります。例えば建設業では、建設業退職金共済制度(建退共)のように、働いた日数に応じて掛金を積み立て、建設業界で働くことをやめたときに退職金を受け取る制度があります。

また、労働組合がある会社では、退職金に関する労働協約や制度改定の経緯がある場合もあります。退職金規程だけでわからないときは、社内の人事・総務部門や労働組合に確認してみましょう。

退職金の計算方法と確認すべき要素

退職金の計算方法を確認するイメージ

退職金の計算方法は、会社ごとの退職金規程によって異なります。多くの会社では、勤続年数・退職理由・役職・等級・給与額などを組み合わせて支給額を決めています。

代表的な考え方として、基本給連動型では次のような式が使われます。

退職金=退職時の基本給または基礎額 × 支給率 × 退職事由係数

ただし、すべての会社がこの式で計算しているわけではありません。ポイント制や定額制、企業年金型など、別の方法を採用している会社もあります。

勤続年数は支給対象と金額の両方に影響する

勤続年数は、退職金の支給対象になるかどうかを決めるだけでなく、支給額にも影響します。

一般的には、勤続年数が長いほど退職金は増えやすい仕組みになっています。退職金制度には、従業員の長期定着を促す目的もあるためです。

ただし、勤続年数が同じでも、退職理由や役職、等級、退職時点の給与額によって支給額は変わります。単純に「何年働いたか」だけで判断しないようにしましょう。

給与・役職・等級が影響する場合としない場合がある

基本給連動型の退職金制度では、退職時の基本給が高いほど退職金も増えやすくなります。役職や等級に応じて基礎額が変わる制度でも、昇進や昇格が退職金に影響します。

一方で、定額制やポイント制では、基本給そのものが直接影響しない場合もあります。給与が高いから退職金も必ず高いとは限らないため、退職金規程の「算定基礎額」を確認しましょう。

退職金の主な算定方法

退職金の算定方法には、主に次のような種類があります。

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算定方法特徴確認ポイント
基本給連動型退職時の基本給などに支給率をかけて計算する基本給のどの部分が算定対象になるか
別テーブル制役職・等級ごとに定めた基礎額を使って計算する退職時点の役職・等級、支給率
ポイント制勤続年数や評価に応じて付与されたポイントで計算するポイント単価、付与基準、退職事由係数
定額制勤続年数ごとに定めた金額を支給する勤続年数別の支給テーブル
企業年金型DB・企業型DCなどの規約に基づいて給付される受取方法、移換手続き、運用状況

退職金規程を見るときは、計算式だけでなく、自己都合退職時の減額、休職期間の扱い、端数月の処理、退職時期による違いも確認しておくと安心です。

退職理由によって支給額が変わることがある

退職金は、定年退職・会社都合退職・自己都合退職・早期優遇退職など、退職理由によって支給額が変わる場合があります。

多くの退職金規程では、退職理由に応じて「退職事由係数」を設けています。自己都合退職では係数が低くなり、定年退職や会社都合退職では高くなるケースがあります。

参考として、厚生労働省の令和5年就労条件総合調査では、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者について、退職事由別の平均退職給付額が公表されています。

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退職事由大学・大学院卒
管理・事務・技術職
高校卒
管理・事務・技術職
高校卒
現業職
定年1,896万円1,682万円1,183万円
会社都合1,738万円1,385万円737万円
自己都合1,441万円1,280万円921万円
早期優遇2,266万円2,432万円2,146万円

上記は勤続20年以上かつ45歳以上の退職者を対象にした平均値であり、短期勤続者の退職金額を示すものではありません。実際の金額は会社の制度や個人の条件によって大きく異なります。

退職金の不安や活用は誰に相談するべきか

退職金や老後資金について相談するイメージ

退職金に関する相談先は、悩みの内容によって分けて考えるのが大切です。

「自分が退職金の対象になるか」「何年目からもらえるか」は、まず会社の人事・総務部門や退職金規程で確認します。一方で、「受け取った退職金をどう活用するか」は、資産運用や老後資金に詳しい専門家への相談が役立つ場合があります。

退職金の確認は人事・総務・退職金規程から始める

退職前にまず確認したいのは、次の項目です。

  • 退職金制度があるか
  • 支給対象となる最低勤続年数
  • 自己都合退職と会社都合退職の金額差
  • 退職一時金・退職年金・企業型DCなどの制度タイプ
  • 退職金の支払予定日
  • 退職前に必要な書類や手続き

社内イントラ、就業規則、退職金規程、入社時の制度資料などで確認できる場合があります。制度が複雑な場合は、人事・総務部門に「退職予定日を前提にした退職金の概算」を確認してみましょう。

未払い・規程との違いがある場合は労働相談窓口も選択肢

退職金制度がない会社で退職金が支払われないこと自体は、原則として違法ではありません。

しかし、就業規則や退職金規程で具体的な支給条件が定められている場合や、過去に同じ条件の退職者へ継続的に支払われていた慣行がある場合は、支払いについて確認が必要です。

会社の説明に納得できない場合は、労働局や労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーなどに相談する方法があります。

退職金の運用や老後資金はIFA・FPなどを比較して相談する

退職金を受け取った後は、生活費、住宅ローン、医療費、相続、老後資金、資産運用などを総合的に考える必要があります。

資産運用について相談する相手として、IFAやFPなどが候補になります。

IFAは「Independent Financial Advisor」の略として使われることが多く、日本では金融商品仲介業者を指す文脈で使われることがあります。金融商品仲介業者は、証券会社や登録金融機関の委託を受けて、有価証券の売買の媒介などを行う者です。

IFAに相談する場合は、次の点を確認しておきましょう。

  • 金融商品仲介業者としての登録状況
  • 所属・委託元の金融機関や証券会社
  • 相談料・販売手数料・信託報酬などの費用
  • 取り扱える商品の範囲
  • 退職金全体の運用方針を無理なく説明してくれるか

退職金はまとまった金額になりやすいため、短期間で大きなリスクを取るよりも、生活費や予備資金を確保したうえで、長期的な資産計画を考えることが大切です。

相談前に用意しておくとよい資料

退職金制度や資産運用について相談する前に、次の資料を用意しておくと話がスムーズです。

  • 退職金規程や就業規則の該当ページ
  • 会社から提示された退職金の試算表
  • 企業型DCや企業年金の加入者向け資料
  • ねんきん定期便
  • 家計の収支、住宅ローン、保険、預貯金の状況

制度の確認と資産運用の相談を分けて進めることで、退職前後の不安を減らしやすくなります。

退職金は3年を目安にしつつ、必ず自社規程で確認しよう

退職金の確認ポイントを整理するイメージ

退職金が何年目からもらえるかは、会社の退職金規程や就業規則によって決まります。

公的統計では、退職一時金の受給に必要な最低勤続年数を「3年以上4年未満」とする企業が最も多く、一般論としては勤続3年がひとつの目安です。

ただし、退職金制度は法律で一律に義務づけられているものではありません。1年未満から支給対象になる会社もあれば、5年以上勤めないと対象にならない会社もあります。

退職前には、次の点を必ず確認しておきましょう。

  • 勤務先に退職金制度があるか
  • 支給対象となる最低勤続年数
  • 自己都合退職・会社都合退職・定年退職で金額が変わるか
  • 退職金の計算方法
  • 支払時期と必要な手続き

退職金を受け取った後の使い道に悩む場合は、生活費や予備資金を確保したうえで、IFAやFPなどの専門家に相談することも選択肢です。

まずは自社の退職金規程を確認し、自分がいつから支給対象になるのか、どの程度の金額を見込めるのかを把握しておきましょう。

出典

厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」(公開日:2023年10月31日)
e-Stat「令和5年就労条件総合調査 退職給付(一時金・年金)制度 表番号32」(公開日:2024年3月1日)
厚生労働省 確かめよう労働条件「就業規則で、記載が必須な事項はありますか?」
茨城労働局「退職金はないと言われたのですが」
日本証券業協会「金融商品仲介業者」
建設業退職金共済事業本部「建退共制度とは」

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執筆者

退職金の相談相手 検索サービス「退職金ナビ」を運営する。
「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンにIFA業界のプラットフォームとして、総合コンサルティング事業を展開している。

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