郵便局員の退職金はいくら?計算方法・税金・ゆうイングを解説

郵便局員の退職金はどれくらい受け取れるのか、定年退職や早期退職が近づくと気になる方も多いでしょう。

ただし、郵便局員の退職金を考えるときは、会社から支給される退職手当と、郵政福祉の退職給付保険「ゆうイング」を分けて理解する必要があります。

この記事では、郵便局員の退職金制度、退職手当ポイント制の考え方、受け取り時の税金、退職金を活用する際の注意点を解説します。

目次

郵便局員の退職金制度を知ろう

郵便局員の退職金制度を確認するイメージ

郵便局員の退職金を確認するときは、まず自分がどの会社・雇用区分に所属しているかを確認しましょう。

日本郵政グループには、日本郵政、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命などがあります。2024年度末時点の日本郵政グループの正社員数は200,100人で、そのうち日本郵便の正社員数は169,961人です。

郵便局で働く方の多くは日本郵便の社員ですが、退職金の具体的な金額は、社員区分、勤続年数、役割等級、人事評価、退職理由などによって変わります。

郵便局員の退職金は「退職手当」と「ゆうイング」を分けて考える

郵便局員の退職時に関係するお金には、主に次の2つがあります。

スクロールできます
種類内容確認すること
会社の退職手当社員として退職する際に、会社の退職手当制度に基づいて支給されるお金社員区分
退職手当ポイント
退職理由別の支給乗率
退職手当規程
退職給付保険「ゆうイング」郵政福祉が提供する保険商品。
毎月の給与から保険料を控除し、退職時に保険料払込期間などに応じた退職給付金を受け取る
加入有無
退職給付金額
受取方法
税務上の扱い

会社の退職手当とゆうイングは、どちらも退職時のお金に関係しますが、制度の性質や税金の扱いが異なります。

特に、ゆうイングは会社の退職手当そのものではなく、保険料を払い込んで退職時の給付金を受け取る保険商品です。そのため、退職金額を見積もるときは、会社の退職手当とゆうイングの退職給付金を分けて確認しましょう。

退職金の計算方法と要件

日本郵政グループの退職手当制度は、以前の最終給与に比例する仕組みから、在職期間中の貢献度を反映できる退職手当ポイント制に改められています。

退職手当ポイント制では、勤続ポイント、役割等級ポイント、人事評価に基づく加減算などを積み上げ、退職時のポイント累計にポイント単価と支給乗率を掛けて退職手当を計算する考え方です。

退職手当ポイント制の基本式

退職手当=退職時のポイント累計×ポイント単価×退職事由別・勤続期間別の支給乗率

  • 実際のポイント数、ポイント単価、支給乗率は社内資料や退職手当規程で確認してください。

たとえば、計算式の理解を目的に、退職時のポイント累計が23,000ポイント、ポイント単価が100円、自己都合退職の支給乗率が0.8と仮定すると、次のように計算できます。

計算例

23,000ポイント×100円×0.8=184万円

この例では、退職手当は184万円です。

上記はあくまで計算方法を理解するための例です。実際の退職金額は、退職手当ポイント明細、退職理由、勤続期間、社員区分、社内規程によって変わります。

自己都合退職、定年退職、勧奨退職、懲戒解雇など、退職理由によって支給乗率や支給可否が変わる可能性もあります。退職前に、最新の社内規程と個人のポイント明細を確認しておきましょう。

制度変更の影響と確認すべきポイント

退職手当ポイント制では、勤続年数だけでなく、役割等級や人事評価も退職手当に影響します。

そのため、中途採用や正社員登用で入社した場合でも、役割や評価によって退職手当が変わる可能性があります。一方で、役割等級ポイントや評価による加算が少ない場合は、長く勤めていても想定より退職金が増えにくいことがあります。

また、日本郵政グループでは、2020年度に満60歳に到達する社員から65歳定年制が導入されました。退職金については、60歳では支給せず、61歳以降も退職手当ポイントを一定付与したうえで、65歳の定年退職時に支給する方針が示されています。

退職時期を考える際は、60歳時点で退職するのか、65歳定年まで勤務するのかによって、退職手当や収入計画が変わる可能性があります。退職前に、退職手当ポイント、定年制度、退職後の働き方をあわせて確認しましょう。

退職金の受け取り方法と注意点

退職金の受け取り方法と税金を確認するイメージ

退職時に受け取るお金は、制度ごとに手続きや税金の扱いが異なります。

会社の退職手当、ゆうイングの退職給付金、企業年金などを同じ「退職金」としてまとめて考えると、税金や受け取り方を誤解しやすいため注意しましょう。

受け取り時期と手続きの流れ

会社の退職手当の受け取り時期や手続きは、会社の退職手当規程や退職時の案内で確認します。

退職予定日が近づいたら、人事・総務担当から退職手続き、退職手当、源泉徴収、社会保険、雇用保険などに関する案内を受けるのが一般的です。

一方、郵政福祉の退職給付保険「ゆうイング」に加入している場合は、退職給付金の請求手続きが別途必要です。退職給付金請求書に必要事項を記入して返送し、手続き完了後、退職日の翌日以降に請求者名義のゆうちょ銀行通常貯金口座へ送金されます。

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受け取るお金主な手続き確認する書類
会社の退職手当会社の退職手続きに沿って確認退職手当規程
退職手当ポイント明細
退職所得の受給に関する申告書
ゆうイングの退職給付金郵政福祉へ退職給付金請求書を提出退職給付金請求書
退職給付金送金通知書
企業年金・確定拠出年金など制度ごとの案内に沿って請求・移換加入者向け通知
裁定請求書
移換書類など

退職金は、支給時期が生活資金の計画に影響します。退職後すぐに住宅ローン、引っ越し費用、生活費などが必要になる場合は、退職前に支給予定日と手続き書類を確認しておきましょう。

税金や社会保険料の影響

会社から受け取る退職手当は、原則として退職所得として扱われます。

退職所得は、長年の勤務に対する給付という性格があるため、退職所得控除や2分の1課税により、給与所得より税負担が軽くなりやすい仕組みです。

退職所得の基本的な計算式

退職所得=(退職金の収入金額-退職所得控除額)×1/2

※勤続5年以下の役員等に対する退職手当などは、2分の1計算が適用されない場合があります。

退職所得控除額は、勤続年数によって次のように計算します。

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数
※80万円未満の場合は80万円
20年超800万円+70万円×(勤続年数-20年)

たとえば勤続30年の場合、退職所得控除額は1,500万円です。退職金が1,500万円以下であれば、原則として退職所得は0円になります。

退職所得の優遇を受けるには、退職金を受け取る前に「退職所得の受給に関する申告書」を提出する必要があります。提出していれば、会社が退職所得に応じた所得税・復興特別所得税を計算して源泉徴収するため、原則として退職金だけを理由に確定申告する必要はありません。

申告書を提出していない場合は、退職手当等の支給額に対して20.42%の所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。この場合でも、確定申告で税額を精算できます。

また、退職時に支払われる通常の退職金は、社会保険料の対象となる報酬や賞与には該当しないものとして扱われます。ただし、退職金相当額を在職中の給与や賞与に上乗せして前払いする制度では、原則として社会保険料の対象になるため注意が必要です。

なお、ゆうイングの退職給付金は、会社の退職手当とは税務上の扱いが異なります。郵政福祉の案内では、退職給付金は分割受取の有無にかかわらず、支払を受けた年の一時所得として課税されるとされています。分割受取を選んだ場合の利息相当分は雑所得として扱われます。

受け取り時の選択肢とメリット・デメリット

会社の退職手当は、退職所得として一時金で受け取るのが基本です。企業年金や確定拠出年金など別制度がある場合は、一時金、年金、併用などを選べることがあります。

ゆうイングに加入している場合は、一括受取と分割受取を選べます。分割受取では、退職給付金の一部を5年間にわたって受け取る仕組みがあります。

一時金で受け取るメリットは、まとまった資金を住宅ローン返済、生活費、医療費、引っ越し費用などに充てやすいことです。一方で、計画を立てずに使うと短期間で資金が減る可能性があります。

分割受取や年金形式のメリットは、定期的に資金を受け取りやすいことです。一方で、税金の扱い、受取総額、途中でまとまった資金が必要になった場合の柔軟性を確認する必要があります。

受け取り方によって手取り額や確定申告の要否が変わることがあります。退職手当、ゆうイング、企業年金をまとめて判断せず、それぞれの制度ごとに税務上の扱いを確認しましょう。

退職金を有効活用するためのポイント

退職金を有効活用するための資金計画を立てるイメージ

退職金は、受け取った後にどう使うかで老後の安心感が変わります。

退職金をすべて運用に回すのではなく、生活費、予備資金、数年以内に使う資金、長期運用に回せる資金に分けて考えることが大切です。

退職金の運用方法とリスク対策

退職金の運用方法には、預貯金、個人向け国債、債券、投資信託、株式、保険商品などがあります。

株式や投資信託は資産を増やせる可能性がありますが、元本割れする可能性もあります。退職後は現役時代より収入を回復しにくい場合があるため、生活に必要な資金まで高リスク商品に回さないよう注意しましょう。

退職金を運用する前に、次の順番で整理すると判断しやすくなります。

  • 退職後1〜2年分の生活費を確保する
  • 住宅ローンや教育費など大きな支出を確認する
  • 公的年金の受給開始時期と見込額を確認する
  • 医療費・介護費・住宅修繕費など将来の支出を見込む
  • 余裕資金の範囲で運用する

運用商品を選ぶときは、期待リターンだけでなく、手数料、値動きの大きさ、換金しやすさ、保有期間を確認しましょう。

節税対策は「受取時」と「運用時」を分けて考える

退職金の節税でまず確認すべきなのは、会社の退職手当を受け取る前に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しているかどうかです。

申告書を提出していないと、20.42%の所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。確定申告で精算できる場合がありますが、退職時の手取りが大きく減る可能性があります。

退職金を受け取った後の運用では、NISAの活用も選択肢の一つです。NISAは、株式や投資信託などの運用益、つまり売却益や配当・分配金が非課税になる制度です。

ただし、NISAは退職金の受け取り時の税金を直接減らす制度ではありません。また、NISA口座で投資しても元本割れのリスクはあります。退職金のうち、当面使わない資金をどの程度運用に回せるかを確認したうえで利用しましょう。

生活設計と退職金の役割

退職金は、受け取ったら終わりではありません。退職後の生活を支える資金として、どのタイミングで、何に使うかを決めておく必要があります。

退職後の生活費は、公的年金、再雇用収入、預貯金、退職金、ゆうイングの退職給付金、運用資産などを合わせて考えます。

特に、60歳以降も働く場合と、すぐに完全リタイアする場合では、退職金の使い方が大きく変わります。働く期間、年金の受給開始時期、住宅ローンの残高、家族への支援、医療・介護費を整理してから、退職金の使い道を決めましょう。

退職金を運用する場合も、生活設計が先です。生活費や緊急資金を確保したうえで、長期で使わない資金だけを運用に回すことが基本です。

IFAに相談できる退職金の悩み

退職金の運用について専門家に相談するイメージ

退職金の受け取りが近づいているものの、運用方法や使い道を自分だけで決めるのが不安な方もいるでしょう。

そのような場合は、IFAやFPなどの専門家に相談する方法があります。

IFAとは、Independent Financial Adviserの略で、独立系ファイナンシャル・アドバイザーと呼ばれます。顧客のライフプランやニーズに合わせて、金融商品の選定・運用、制度活用の提案、売買取引の支援などを行います。

退職金の運用方法を相談できる

退職後は、公的年金や再雇用収入が主な収入源になる方も多くなります。

そのため、退職金の運用では「増やすこと」だけでなく、「減らしすぎないこと」「必要なときに使えること」も大切です。

IFAに相談すると、退職後の生活費、年金見込み額、保有資産、リスク許容度をもとに、資産配分や運用商品の候補を整理しやすくなります。

ただし、IFAに相談すれば必ず運用成績が上がるわけではありません。提案内容、リスク、手数料を確認したうえで、自分で納得して判断することが重要です。

税金の基本整理はできるが、税務判断は専門家に確認する

退職金の手取りを考えるには、退職所得控除、住民税、ゆうイングの一時所得、NISAの非課税制度などを整理する必要があります。

IFAは、ライフプランや資産運用の観点から制度の活用方法を提案できる場合があります。一方で、個別具体的な税務判断や申告の相談は、税理士や税務署に確認するのが適切です。

たとえば、退職手当、ゆうイング、企業年金、iDeCo、NISAなどを併用している場合は、税金の扱いが複雑になります。不明点がある場合は、税理士や税務署に相談しましょう。

IFAに相談する前に確認すべきこと

IFAは、複数の金融機関と提携している場合がありますが、取り扱える商品や手数料体系は所属先によって異なります。

相談前には、次の点を確認しましょう。

  • 相談料の有無
  • 金融商品の購入時・保有中・売却時にかかる手数料
  • 提携している金融機関
  • 取り扱える商品の範囲
  • 担当者の登録状況や経験
  • 税理士や弁護士など他の専門家との連携体制

退職金は、老後の生活を支える重要な資金です。焦って運用商品を選ぶのではなく、生活資金を確保したうえで、余裕資金の範囲で運用を検討しましょう。

まとめ

退職金と老後資金の計画を立てるイメージ

郵便局員の退職金を考えるときは、会社の退職手当と、郵政福祉の退職給付保険「ゆうイング」を分けて確認することが大切です。

会社の退職手当は、退職手当ポイント制に基づいて計算されます。退職時のポイント累計、ポイント単価、退職事由別・勤続期間別の支給乗率によって金額が変わるため、退職前に退職手当ポイント明細や社内規程を確認しましょう。

ゆうイングに加入している場合は、退職給付金の請求手続きも必要です。会社の退職手当とは税務上の扱いが異なるため、退職手当、ゆうイング、企業年金などを混同しないよう注意してください。

退職金を受け取る前には、「退職所得の受給に関する申告書」の提出、税金、社会保険料、支給時期を確認しておきましょう。

退職金を有効活用するには、生活資金、予備資金、運用資金を分けて考えることが重要です。運用に不安がある場合は、費用や取扱商品の範囲を確認したうえで、IFAやFPなどの専門家に相談することも選択肢の一つです。

退職後の生活を安心して迎えるためにも、退職金の金額だけでなく、税金、受け取り方、使い方まで早めに整理しておきましょう。

出典

日本郵政「ESGデータ集(社会)」
郵政民営化委員会「人事・給与制度の見直しについて」(公開日:2014年1月31日)
日本郵政「郵政創業150年 第7編 第2章 第4節 その他のグループ・日本郵政の取組等」
日本郵政「2019年3月28日 木曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容」(公開日:2019年3月28日)
一般財団法人 郵政福祉「退職給付保険『ゆうイング』」
一般財団法人 郵政福祉「退職給付金の請求」
一般財団法人 郵政福祉「退職されたとき」
国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」
国税庁「No.2732 退職手当等に対する源泉徴収」
厚生労働省「いわゆる退職金の前払いに係る社会保険料の取扱いについて」(公開日:2003年10月1日)
金融庁「NISAを知る:NISA特設ウェブサイト」
厚生労働省 job tag「独立系ファイナンシャル・アドバイザー(IFA) – 職業詳細」

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退職金の相談相手 検索サービス「退職金ナビ」を運営する。
「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンにIFA業界のプラットフォームとして、総合コンサルティング事業を展開している。

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