- 法人の退職金の管理について知りたい
- 税制優遇はあるのか知りたい
- 適切な支給方法を知りたい
退職時に受け取れるお金のひとつが退職金だ。
退職金は退職金規定に沿って支給されるが、法人のなかには退職金制度を導入していない企業も存在する。この場合、従業員は退職金を受け取ることができない。
従業員のエンゲージメントを高めるためにも退職金制度はあるほうが望ましい。
しかし、費用や管理に係る経済上のリスクやキャッシュフローの観点から、導入に踏み出せない企業も存在する。
本稿では、法人の退職金制度について、退職金制度を導入するメリットも含め、基本知識や退職金額の相場、退職金の種類、税制優遇などについて解説する。
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法人の退職金の基本知識
法人の退職金制度の概要
多くの法人は、退職金に関する規定が記された「退職金制度」を定めている。
退職金制度とは、従業員に退職金を支払うための制度で、退職金規定には退職金支給の適用範囲、計算方法、減額規定、運営方法などが定められている。
ただし、退職金制度や退職金規定の作成は法律で義務付けられておらず、退職金を支給しない企業は退職金規定を定める必要がない。
退職金は必ずしも支給されるわけではなく、社会的意義は大きいものの、企業独自の制度と言える。
法人の退職金制度の種類
法人が導入する退職金制度は、おもに4つある。
- 退職一時金制度
- 退職時に一定の金額を支給する方法。算出方法には「基本給連動型」「定額方式」「別テーブル方式」「ポイント制方式」などがある。
- 退職金共済制度
- 中小企業などが外部機関を利用して退職金を積み立てる方法。中小企業退職金共済制度など。
- 確定拠出年金制度(DC)
- 掛金を企業が負担し(※一定条件のもと、従業員が上乗せする形で拠出することも可能)、従業員が自ら運用する年金制度。将来受け取る退職金は運用成果による。
- 確定給付金業年金制度(DB)
- 企業が外部機関に委託して運用する年金制度。給付額があらかじめ決まっており、損失が出た場合は企業が補填する。
退職金にかかる税金
法人が従業員に対し支給する退職金は、一定の条件を満たせば税務上の損金として計上できる。退職の事実と退職金の金額が確定すれば、支給前であっても未払金に計上して損金にすることが可能だ。
一方、経営者や役員に支払われる退職金額が不当に高額な場合、役員退職金の損金算入が認められないケースがある。
ただし、退職金額が適正であれば、原則として退職金額が確定した日の属する事業年度において損金に算入することができる。
役員退職金に関しては具体的な法律が定められていないため、企業側が正当な手続きを経て決定したことを記録として残しておくと、税務調査のときにも役立つ。
社内の退職規定の整備はもちろんだが、株主総会や取締役会の議事録など、退職金額が決定する経緯は残しておくとよい。
法人の退職金、適切な支給額や方法は?
企業別&業界別の平均支給額
中央労働委員会が公表している「令和3年賃金事情等総合調査(確報)」には、大企業の業種別、退職事由別、学歴別の退職金額が掲載されている。
退職金支給額の目安になるので確認しておこう。
退職事由別1人平均退職金額
定年退職:18,729千円
会社都合:11,972千円
自己都合:4,473千円
定年退職:19,005千円
会社都合:11,228千円
自己都合:5,282 千円
勤続年数、学歴別定年退職者の平均退職金額(男性)
大学卒&勤続35年:19,033千円
大学卒&満勤勤続:22,304千円
高校卒&勤続35年:17,457千円
高校卒&満勤勤続:20,176千円
大学卒&勤続35年:17,445千円
大学卒&満勤勤続:22,773千円
高校卒&勤続35年:15,086千円
高校卒&満勤勤続:20,031千円
退職金の支給要件と算定方法
退職金の支給要件や算定方法は、勤務先の退職金規定に準ずる。
具体的には勤続年数、職種、最終学歴、自己都合や会社都合などの退職事由、懲罰の有無が退職金の支給に影響する。たとえば、入社して3年以内の退職だと、退職金支給の対象外になる場合もある。
退職金の計算方法は、「基本給連動型」「定額方式」「別テーブル方式」「ポイント制方式」のいずれかで算出されるのが一般的だ。どの計算方法を採用しているかは企業によって異なる。
長く勤めることで大きな退職金が得られる「基本給連動型」は、経営を圧迫する可能性を問題視する企業も増え、基本給や勤務年数に縛られない計算方法を模索している企業もある。
退職金制度のリスク管理
退職給付制度の運営、維持・管理は、企業にとって経済的なリスクが大きい。
内部であれ、外部であれ、基金の維持や管理にはコストがかかる上に、低金利が続く日本では運用益が十分に得られていない可能性もある。
特に中小企業の場合、退職金の支給に伴って、キャッシュフローが一時的に悪化しやすいのも経営者を悩ませる問題だ。
いっそのこと退職金制度を廃止、あるいは退職金の減額をするのも一案だが、労働条件の不利益変更に該当するため注意が必要だ。
廃止・変更をするならば、原則として、その変更に合理性があり、従業員からの同意を得ることが必要となる。廃止や変更にするならば、ボーナスを増額するなど代替の措置を講じておくのもひとつの方法だ。
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法人の退職金の節税対策と活用方法
法人税・所得税の軽減措置
法人が従業員に対して支給する退職金は、一定の条件を満たせば税務上の損金として計上できる。
一方、個人が受け取る退職金には3つの税制優遇がある。
- 退職所得控除
- 1/2課税
- 分離課税
退職金は、長年の功労に対する報償、あるいは退職後の生活資金という性質上、税の負担が重くならないように配慮されている。
そのため、課税所得が圧縮され、他の所得とも合算されずに税金を負担することになる。退職金を支払う法人は法人税の負担が減るため、税制面では双方にメリットがあると言える。
税制優遇の対象となる条件
役員退職金などの場合、退職金額が過大と判断されると損金算入が認められない可能性がある。そのため、適切な額を設定することが大切だ。
一般的に退職金の算出には功績倍率法がよく利用されている。
功績倍率法:役員退職金=最終月額役員報酬×在任年数×功績倍率
功績倍率によって退職金額が変動するため、一般的に2~3倍に定められる場合が多い。
一方、個人で退職金で受けられる税制優遇は、先に挙げたとおりだが、気を付けたいのは2分の1課税だ。
5年以下の退職で支給された退職金について、一定金額以上の部分は2分の1課税の適用外になるので注意しておこう。
税制優遇活用による注意点
役員退職金を支給して、税務上否認されるリスクを避けるためには、あらかじめ役員退職金規定を作成しておき、功績倍率などを決めておくとよい。
会社内で規定を整備し、適切な退職金を支払う手続きを踏めば、不必要に少額に設定して節税のチャンスを逃すこともなくなる。事前に税理士と相談しておくことも大切だ。
一方、個人の場合、5年以内の退職の場合は気をつけるようにしよう。
2021年の税制改正により、勤続年数が5年以下の従業員(役員以外)に支払われる退職金は「短期退職手当等」とされ、「退職金額ー退職所得控除額」の残額のうち300万円を超える部分には「2分の1課税」を適用しないことになった。
実質的な増税になるので、5年以内の退職の場合は気をつけておきたい。
IFAによる退職金運用サポート
IFAが提供する退職金のアドバイス
退職金準備のために活用する法人保険、確定拠出年金用のファンドなどは、IFAから選び方のアドバイスを受けるとよいだろう。金融商品に関する豊富な知識で、幅広い商品のなかから退職金に適した商品を選ぶことができる。
IFAは証券会社や銀行、保険会社の出身者が多く、企業経営に関する事例やノウハウをもっているアドバイザーもいる。後継者への株式の譲渡など事業承継の相談もできたりするので、得意分野を聞いてみるとよいだろう。
IFAに相談するメリットとその手続き
IFAは特定の金融機関に属さない。そのため、中立的な立場で顧客にアドバイスができるのがメリットだ。特定の金融機関の商品ばかりを勧めてくることもないので安心だ。
法人保険を提案する際は、数社の商品を顧客の意向に沿いながら比較提案してくれるだろう。
IFAに直接相談したい場合はネット上で簡単に検索できる。連絡すれば面談の予約もとることができる。FPやIFAを紹介する会社もあるので、ホームぺージなどから検索してみるのもおすすめだ。
専門家の支援による退職金運用の効果
企業経営には、専門家のサポートが欠かせない。税理士や会計士などのサポートも必要だが、金融商品に関しては商品知識の豊富なIFAに相談してみるとよいだろう。
さまざまな専門家のサポートを得られると、案を出すだけに終わらない具体的なアクションを起こすことができる。特に退職金運用は大きなお金が動くため、慎重に準備や話し合いをもつ必要があるだろう。
退職金運用にはIFAや税理士などの適切なサポートが受けられると、節税効果を高める退職金制度を導入することができる。まずは相談することから始めてみてはいかがだろうか。
退職金活用はIFAに相談を!
この記事では、法人の退職金の基本知識、適切な支給方法、税制優遇、IFAによるサポートについて解説した。
IFAに相談すれば、退職金に関する専門家の知見を活用し、最適な運用が可能になるだろう。退職金運用のリスク管理や節税対策もスムーズに実施できるはずだ。
IFAの検索には「退職金ナビ」を活用してみよう。全国のIFAを自分で検索できるので、安心して相談をすることができる。
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