- 退職金に関する基本情報を知りたい
- 退職金の計算方法を知りたい
- 退職金の活用方法について知りたい
退職金とは、長年勤めていた従業員を労う企業からのギフトだ。
退職金の種類として一般的に知られているのは、まとまった金額を一括で受け取る「退職一時金」であり、昔から認知されている退職金の一つだ。
しかし、退職金といってもどのように支給されるのか、そのタイミングや形態は企業によって大きく異なる。
本記事では、退職金の基礎知識とよくある疑問について解説したいと思う。
どのような条件を満たしていれば退職金を受け取ることができるのか、どのような計算方法で退職金を算出するのか、税制上はどのような扱いになるのか。
それらを知り、退職金にまつわる不安をクリアにしたい方はぜひ目を通してほしい。
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退職金とは?基本知識を押さえよう
まずは、退職金の疑問を解決するために基礎知識の部分から理解を深めていこう。
退職金の定義と目的
「退職金」とは、勤め先を退職する際に受け取ることができる金銭を指す。
退職金制度は、「退職手当」と呼ばれることもある。また、「退職慰労金」という名称も一部で用いられていることから、退職金の目的は「退職者が退職後も安定した生活を送れるように支援するため」である。
正式名称は「退職給付制度」というが、世間的には「退職金制度」と呼ばれている。
慣例的には、定年退職時にのみ支払われる方法と捉えられがちだが、自己都合の退職、解雇、従業員死亡の場合にも支払われる場合がある。
また、あまり一般的ではないが、役員が退職する際、退職金の代わりに土地や不動産等を進呈する企業も存在する。
退職金の支払い対象者
退職金を受け取れる対象者は、企業が定める支給対象者、勤続年数に基づいて決定される。支払い対象者の規定は各企業の自由裁量となるため、退職金制度を導入している企業へ入社した際は必ず人事へ確認しておくことをおすすめする。
なお、退職金をもらえる対象者=正社員のみと認識している人も少なくないかもしれないが、たとえアルバイトであっても退職金の対象者になりうる場合がある。
2021年4月より、パートタイム・有期雇用労働法が全面的に施行され、不平等な待遇差を正社員とアルバイトの間に設けることが禁止された。
そのため、アルバイト職務においても業務内容や責任の範囲で分けることなく、正社員と同様の待遇を受けることが正当に認められ、退職金の支給を求めることが可能となった。
しかし、実際は就業規則が正社員、非常勤に分けて制定されているか、そもそも退職金制度を導入していないため、アルバイトの退職金制度を導入している事例は少ないのが現状だ。
今後導入する企業が増えてくることに期待したい。
企業ごとの退職金制度の違い
企業が導入する退職金制度は、主に4パターンが挙げられる。具体的には以下の通りだ。
退職一時金制度は、労働者が退職した時に一括で退職金を支払う制度である。通常「退職金」と言われる場合は、この退職一時金を指す。
主なメリットは、一度にまとまった金額を支払うため、退職金を受け取った労働者から感謝されやすいことだ。一般に「退職金」と呼ばれるため、労働者にとっても分かりやすく、安心感を与えることができる。
デメリットは、退職金を支払う上で減税措置がないことだ。また、退職者が増えると蓄積していた内部留保が流出し、資金繰りに苦労することがある可能性がある。
確定給付企業年金制度は、退職時に一時金として支払われる退職金制度とは異なり、あらかじめ会社が定めた一定額の給付を保障する企業年金制度だ。
確定給付企業年金制度は、企業が生命保険会社と契約して掛金を運用してもらい、退職者に直接支払われる形で退職金が給付される。
まず、企業側における主なメリットは、掛金を損金として算入できることだ。一方、運用に失敗した場合は多額の損失を補填する必要があるというデメリットも存在する。
続いて従業員側のメリットは、給付金が確定しているため、将来設計しやすい点だ。給付金を自ら決める必要もないため、投資に関する知識をつけずともコンスタントに年金を積み立てることができる。
一方、運用状況が把握しづらく、積立不足による会社の補てんが発生した場合は業績・給料への影響が懸念されるデメリットも存在する。
確定拠出年金制度とは、企業が掛け金を積み立て、労働者が退職後に年金として受け取る制度だ。
確定拠出年金制度は労働者本人が選択した方法で運用され、投資リスクも本人が負担しなければならない。
主なメリットは、運用成果によって受け取れる給付金を大きくできる可能性がある点である。また損失が発生しても、その補填をする必要がない。
デメリットは、運用成果によって給付金が変動する性質上、成果次第では年金の支給額がマイナスになる可能性がある点、退職給付負債のリスクを労働者側が背負う必要がある点だ。
確定給付企業年金制度は給付金が確定しているため労働者は運用できない一方、確定拠出年金制度は労働者の運用成果によって給付金が変動するという違いがある。
中小企業退職金共済は、中小企業に勤める労働者を対象とした公的な退職金制度である。
企業が全額掛金を負担して積み立て、労働者が退職時に共済から退職金が支払われる。まず企業側のメリットは、掛金を損金として算入できることだ。また、国からの助成も受けることが可能である。
デメリットは、掛金を減額できないこと、経営が苦しくなった場合に負担が大きくなるリスクがあることだ。
また、短期間で退職した労働者には退職金が支払われないという制限もある。さらに、この制度に加入できるのは中小企業に勤める労働者のみと限定されている。
続いて従業員側のメリットは、運用利息のメリットが発生する点である。加入後24ヶ月目以降になると掛金総額の100%を、加入後3年7ヶ月以上経過すると運用利息が加算され、掛金納付額以上の退職金を受け取れるようになる。
デメリットとして挙げられるのは、短期間で退職してしまった場合は退職金を全くもらえない可能性がある点だ。
中小企業退職金共済の最大のメリットである運用利息の発生を得るためには、最低3年7ヶ月以上は同じ職場に勤務する必要があると言い換えることができる。
退職金の計算方法を理解する
もらえる退職金を正しく把握する上で、退職金の計算方法を理解する必要がある。
退職金制度は義務化されていないため一概には言えないが、一般的な退職金の計算方法について解説しよう。
基本給と年数をもとにした計算方法
企業が退職金制度を導入する場合は、就業規則に下記を記載しなければならない。
- 退職金制度の対象となる労働者の条件
- 退職手当を支払う時期
- 退職手当の決定、計算方法・支払方法
退職金の算出方法と金額は「退職金の額」と「退職手当の決定、計算、および支払の方法」などの条項によって定められる。
具体的な退職金の計算方法は企業が定める就業規則によって異なるが、基本給と勤続年数に応じて支給率を掛け算する計算方法が一般的だ。
- 5年未満:1.0
- 5年~10年:3.0
- 11年~15年:5.0
- 16年~20年:7.0
- 21年~25年:10.0
- 26年~30年:15.0
- 31年~35年:17.0
- 36年~40年:20.0
- 41年~:25.0
例えば勤続年数が11年であれば、基本給30万円に5.0という支給率を掛け算した150万円が退職金として支払われる。
別パターンとして、勤続年数35年の場合は基本給40万円に17.0という支給率を掛け算した680万円が支払われる。
なお就業規則には、退職金を受け取れる労働者の条件、支払時期等も記載する必要がある。
また例外規定として、勤続年5年未満の自己都合による退職者には退職金の支給を行わないという規定がある場合も就業規則に明確に記載する必要がある。
労働条件による計算の違い
企業が退職金制度を導入する場合、就業規則にて支払方法、支払時期、対象者を明確に定めなければならない。
企業によっては、雇用形態(正社員、契約社員、アルバイト・パート等)によって就業規則そのものを異なる内容で定義づけている場合もあるため、労働条件によって計算方法が異なる場合も多い。
具体的な計算方法は画一化されていないため、労働条件ごとに定められた計算方法を企業へ確認する必要がある。
税金や社会保険料の影響
結論として、退職金そのものに社会保険料はかからない。
退職金は「退職所得」という所得区分になり、通常の給与とは異なった方法で控除される税額で計算される。
退職金はある程度まとまった金額を受け取ることが多いため社会保険料への影響を心配する人もいるが、退職金が一括で支払われる場合、社会保険料は控除されない。
しかし、年金として分割して受け取る場合や、退職金相当額の一部を在職中に支払われる退職金前払い制度で受け取る場合は社会保険料が控除される場合がある。
原則として、退職金から控除される税金は所得税(復興特別所得税を含む)と住民税の二つだ。
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退職金の税制対策のポイント
退職金の計算方法を正しく知ることで、退職を決めた段階でどれくらいの退職金を手に入れることができるかをあらかじめシミュレーションすることが可能となる。
会社によって計算方法は異なるため、就業規則に定められた計算方法を確認の上で算出すると良い。
計算してみると分かるように、退職金は額が大きいため、金額に比例して税金も高くなりやすい。税制対策を有利に行うことで、より有意義な退職金の活用が可能となる。
そこで次は、退職金の税制対策のポイントについて解説しよう。
退職金税制対策の方法
対象金の節税対策として有効なパターンを紹介しよう。具体的には以下の通りである。
一括受け取り
退職金を一括で受け取る場合、所得控除額が大幅に引き上げられるため、納税額が軽減される可能性が高くなる。
具体的には、退職金を一括で受け取る場合は「退職所得」という所得区分となる。「退職所得」は老後の生活資金や功労金といった意味合いで支払われることが多いため、所得控除を受けることが可能だ。
- 勤続年数が20年以下の場合:40万円×勤続年数※1(この額が80万円に満たない場合は80万円)
- 勤続年数が20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)※2
※1:障害者となったことにより退職したときは、計算した額に100万円を加えた額とする。(所得税法第30条第5項第2号)
※2:勤続年数に1年未満の端数があるときは、切り上げて1年として計算する。(所得税法施行令第69条第2項)
(退職手当等の収入金額 - 退職所得控除額)× 1/2
役員等勤続年数が5年以下である者の場合は、1/2を乗じずに計算
※役員等以外の者としての勤続年数が5年以下である者の場合は、退職手当等の収入金額から退職所得控除額を差し引いた額のうち300万円を超える部分には1/2を乗じずに計算
ふるさと納税
ふるさと納税は納税地からのお礼として返礼品を受け取れるため、効果的な節税策である。住民税の税額控除を受けることができると同時に、所得税の所得控除も受けることができる。
例えば、10万円を別の地域に納税した場合、2,000円の差し引きをされた98,000円が翌年の住民税から全額の税額控除となる。さらに、納税した金額の3割程度のお礼の品を受け取ることも可能だ。
ただし、退職金を一時金として受け取る場合はふるさと納税を利用できないことに注意が必要だ。ふるさと納税は、年金形式での受け取りにのみ適用される制度である。
損益通算の活用
退職所得や給与所得以外に以下の所得がある方は、税金対策に損益通算をする場合がある。
- 不動産所得
- 事業所得
- 山林所得
- 譲渡所得
もし、これらの所得のいずれかで赤字が生じた場合はその赤字額を退職所得から差し引くことができる。
例えば、不動産投資によって赤字が100万円生じた場合、その分だけ退職所得から差し引くことができる。
もし退職所得が純粋に計算した金額が200万円であったとしても、損益通算によって100万円まで減らすことができれば、所得税の額は5万円となるのだ。
税負担を軽減するために、損益通算を上手く活用しよう。
退職金の税制対策の注意点
前年を含めて4年以内に他社から退職金を受け取っている場合、退職所得控除額が減少する恐れがある。つまり、複数の会社から退職金を受け取る場合は最低5年間の間隔を開けて退職した方が節税の効果が期待できる。
なお、前項目で解説した税制対策におけるそれぞれの注意点について解説していこう。
一括受け取り
一括受け取りはまとまった金額が一気に入る税制対策であるため、大金を手に入れた弾みでお金を使い過ぎてしまう恐れがある点だ。
高級車の購入、ブランド品、自宅のリフォーム、贅沢な旅行等で使い過ぎてしまうと、せっかく受け取った退職金もすぐに底を尽きてしまう。
そのようなリスクを避けるために、一括受け取りをした際はすぐさま資産運用に回す等をして、お金を手元に置いていかない状況をつくることをおすすめする。
ふるさと納税
ふるさと納税には、確定申告不要で寄付金が控除されるワンストップ特例制度が存在するが、退職金はワンストップ特例制度が適用されない。
退職金における住民税は控除の対象外である分離課税のため、所得税しか控除の対象とならない。
一方、ワンストップ特例制度で控除されるのは住民税のみであり、所得税は対象である。そのため、ワンストップ特例制度を利用しても控除を受けることができない。
また、控除上限額を把握しておかなければ自己負担額も増えてしまうため、退職年の控除上限額を計算する際に、1年間の所得をしっかりと把握しておこう。
損益通算の活用
不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得で赤字が出た場合でも、損益通算によって納税額を少なくできる場合がある。
ただし、損益通算を行う場合には必ず確定申告をしなければならない。
例えば、事業が赤字となってしまい確定申告を行う必要はない場合でも、確定申告をすることで損益通算もしくは損失の繰越控除が適用され、納税額が少なくなる場合もある。
退職金の運用はどこに相談すればいいか
以上、退職金の基本概要、計算方法、税制対策等について詳しく解説した。
退職金の性質を理解して賢く運用できれば、節税しながら資産をより大きくできる可能性があることがお分かりいただけただろうか。
しかし、単に退職金の運用といっても経験がない段階からスタートするにはいささかハードルが高く感じるかもしれない。
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まとめ
以上、本記事では退職金の基本概要、計算方法、税制対策、退職金運用の相談先等について詳しく解説した。
退職金は仕事を辞めた後の生活を支える大きな柱の一つであるからこそ、いかに有効な退職金運用・税制対策を図れるかが重要となる。
豊かな老後の生活を送るためにも、今この時から退職金運用の準備を進めてほしい。その際に手助け役として、IFAの力を借りてみてはいかがだろうか。
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