- 退職金の計算方法を理解したい
- 自分の退職金がいくらになるか知りたい
- シミュレーションで退職金を確認する方法を学びたい
退職すると、これまで会社から支払われてきた給与が支給されなくなったり、再就職しても現役時代と比べ手取りが少なくなったりするケースが多い。
そのため、あらかじめ退職金がいくらもらえるのか把握し、退職後の生活設計を立てておくことが大切だ。
そこで今回は、退職金を正確に計算する方法や、シミュレーションの活用についてわかりやすく解説していく。
定年が近い方や、退職を検討している方は、ぜひ参考にしてみてはいかがだろうか。
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退職金の仕組みと計算方法
自分に支給される退職金がいくらになるか知るために、まずは退職金の仕組みと計算方法について解説していく。
退職金の種類と支給条件
退職金は主に4種類あり、支給条件がそれぞれ異なる。
退職金の種類と支給条件
退職金の種類 | 支給条件 |
---|---|
退職一時金制度 | 企業ごとの退職金規程により、退職時に一括支給 |
中小企業退職金 共済制度 | 事業主が積み立てた退職金を、退職時に一括、退職後に分割・一部分割のいずれかで支給 |
確定給付企業 年金制度 | 掛金を事業主が全額負担し、退職後に年金・一時金・年金と一時金の併用のいずれかで支給 |
企業型確定拠出 年金制度 | 掛金を事業主が負担し、従業員が運用後、60歳以降に年金・一時金・年金と一時金の併用のいずれかで支給 |
人事院の調査によると、退職一時金制度がある企業の割合は89.2%だ。
また、中小企業退職金共済制度や確定給付企業年金制度、企業型確定拠出年金制度などの、企業年金制度がある企業は47.9%となっている。
なお、中小企業退職金共済制度とその他の制度を併用している企業の割合は、以下のグラフが示すとおり年々増加傾向にある。
併用する理由として、「中小企業退職金共済制度だけでは、目標退職金額に到達しないから」というのがもっとも多い。
中小企業退職金共済制度とその他の制度を併用している企業の割合
中小企業退職金共済制度の退職金を、分割払いで受け取るときは次の条件を満たす必要がある。
中小企業退職金共済の分割払い条件
退職日に60歳以上で上の表の条件を満たせば、5年間または10年間で支払う「全額分割払い」、 「一部分割払い(併用払い)」を選択して受け取る事が可能になる。
また、中小企業退職金共済制度で退職金の分割払いを選択すると、2月・5月・8月・11月の年4回に分けて支給されるが、初回に設定された退職金額は支払いが完了するまで変更できない。
退職金の仕組みと計算方法
退職金の計算方法は、主に4種類ある。
次の表が示すとおり、企業が採用している退職金の制度ごとに、仕組みや計算方法が異なるのだ。
制度別|退職金の仕組みと計算方法
退職金の制度 | 仕組み | 計算方法 |
---|---|---|
勤続年数別 定額制 | 一定の退職金を毎年積み立てる | 積立額の合計×支給率×退職事由係数 |
最終給与連動制 | 退職時の基本給をもとに算出 | 退職時の基本給×支給率×退職事由係数 |
ポイント制 | 退職時までに付与されるポイントで算出 | 累計ポイント×ポイント単価×支給率×退職事由係数 |
別テーブル制 | 退職理由別の勤続年数と役職で算出 | テーブル別の給与×支給率×退職事由係数 |
退職金計算のポイント
勤続年数別定額制の場合、「勤続年数」に応じた退職金額が算出される。
退職金の計算に給与額を用いないのが特徴で、毎年一定額の退職金を積み立てていくのだ。
最終給与連動制は、「退職時の給与」や退職理由、勤続年数などにより退職金額を計算する。
そのため、営業成績を上げて給与が高い時期があったとしても、退職時よりも前に支払われた給与額は退職金を算出するときに用いない。
企業によっては「退職時の役職」を加味したうえで退職金の計算を行うケースもある。
ポイント制は、「企業ごとに定められた評価項目」により退職時までに毎年付与されるポイントを用いて退職金の計算をする。
別テーブル制の場合、「退職理由別の勤続年数」や「役職」などにより定められた表をもとに退職金を算出するため、基本給は考慮されない。
退職金シミュレーションツールの活用方法
ここまで解説してきたとおり、退職金の計算方法はやや複雑だ。
そのため、手軽におおよその退職金額を知りたいときは、シミュレーションツールを活用するといい。
シミュレーションツールの選び方
シミュレーションツールで退職金額を確認するときは、勤務先の退職金規程に近いものを選ぼう。
たとえば、独立行政法人福祉医療機構による退職手当金計算シミュレーションツールでは、退職前6カ月の平均月額給与(手当を除いたもの)をもとに、退職金を計算する。
ただし、上記のシミュレーションツールでは、退職金に関する税金は考慮されていない。
そのため、税金を差し引いた後のおおよその退職金手取り額を確認したい場合は、クラウド会計ソフトを提供するフリー株式会社の「給与ねっと 退職金の税金計算」でシミュレーションするといい。
シミュレーションで必要な情報の入力
前述した退職金シミュレーションツールを使用する際に、入力が必要な情報について解説していく。
独立行政法人福祉医療機構による退職手当金計算シミュレーションツールの場合、加入年月と退職年月を入力し、退職前6カ月の平均月額給与(手当を除いたもの)と退職理由の選択をすると、おおよその退職金額が算出される。
クラウド会計ソフトを提供するフリー株式会社「給与ねっと」でシミュレーションするときは、就職日と退職日、退職金を入力すると、おおよその税額と税金を差し引いた後の退職金額を確認できる。
シミュレーション結果の活用と注意点
シミュレーションツールで算出したおおよその退職金額は、退職後のライフプランを検討するうえで参考になるだろう。
しかし、企業ごとに採用している退職金の種類や制度が異なるため、上記で紹介したようなシミュレーションツールだけでは詳細な退職金額を算出することは難しい。
その為、可能な限り詳細な退職金額を自分で把握していた方が、退職後のライフプランを立てやすい。
前述した「退職金の計算方法」をもとに自身で退職金額を計算したり、専門家に相談して独自のシミュレーションツールを活用したアドバイスを受けたりすることも検討してみよう。
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退職金計算の落とし穴と対策
退職金がいくら支給されるのか計算したから一安心…というわけではない。
次は、退職金計算の落とし穴とその対策について解説する。
給与・勤続年数の変動による影響
給与や勤続年数が増すごとに退職金額が多くなる傾向にあるが、例外もある。
例えば、役職定年という人事制度の影響を受け、退職するまでに給与が大幅に減り、予想していた退職金額より少なくなるケースもあるため注意しよう。
役職定年制とは、ある年齢に達すると役職を外れるもので、組織の活性化や人材育成のために設けられているものだ。
人事院の調査によると、企業全体の16.4%、従業員が500人以上の企業においては30.7%は、役職定年制を導入している。
会社の規定や制度の変更
退職金がいくら支給されるかは、会社の規程次第となっている。
また、退職金に関する制度が変更されると、退職金の計算や支給額が変わってくる場合があるため注意が必要だ。
現に、2022年の4月と10月に、確定拠出年金法が一部改正された。
退職金を計算する前に「会社の規程変更」や「制度の改正」などが行われていないか、新しい情報を確認しよう。
税金や社会保険料の影響
退職金は主に月給と勤続年数で計算するが、そのままの金額が手取りとなるわけではないため注意しよう。
具体的には、「どのように退職金を受け取るか」によって税金や社会保険料が異なるのだ。
冒頭の「退職金の種類と支給条件」で前述したとおり、退職金の受け取り方法は主に3種類ある。
- 一時金
- 年金
- 一時金と年金
退職金の手取り額を正確に計算するには、受け取り方法によって異なる「税金や社会保険料」も考慮しなければならず、専門的な知識が必要となる。
また、退職金の税金や社会保険料に関する法律が改定されることもあるため、ニュースや国税庁のサイトをチェックするなどして最新の情報を確認しておこう。
正確な計算で退職金を確認する「3つの手順」
退職金は、企業ごとに定められている退職金規程だけでなく、税制や社会保険制度などにより手取り額が異なる。
そのため、退職後の生活設計を立てる際は、税金や社会保険料を考慮した正確な計算に基づく退職金額を把握しておいた方がいい。
「退職金の正確な計算を自分だけで行うのは難しい」という方は専門家に相談すると、専門的な知識やシミュレーションツールの活用方法が得られる。
次は、正確な計算による「退職金額」を確認するための3つの手順を解説していく。
退職金額を確認する3つの手順
各企業の実情に応じて退職金の計算方法が異なるため、退職金額の正確な計算を行うときは、まずは勤め先の退職金に関する規程を確認しよう。
厚生労働省によると、企業で退職金制度を設けた場合、「退職金の支給要件」「計算や支払いの方法」「支払い時期」などを就業規則に記載することが定められている。
退職金計算やシミュレーションに関する知識が必要な場合、退職金の専門家に依頼することでその悩みが解決されることが期待できる。
専門家の中でも特におすすめしたいのが、IFAである。
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は、特定の金融機関に所属していない「退職金の専門家」だ。
そのため、IFAに退職金の計算を依頼すると、金融機関ごとの営業方針に左右されない、相談者のニーズに沿った専門家としてのアドバイスも受けられる。
退職金は、会社ごとの退職金規程により異なるため、上記で紹介したようなシミュレーションツールは、あくまでも退職金の概算額を知るために活用しよう。
「退職金の専門家」に相談すると、独自のシミュレーションツールを活用して正確な退職金額を計算してもらえる。
退職金の専門家を探している方は、退職金ナビを活用すると、あなたに合ったIFAを探し、無料で相談することができる。
退職金の正確な計算を一人で行うには専門知識が不可欠であるため、退職金の専門家であるIFAに退職金がいくらになるのかシミュレーションを依頼してはいかがだろうか。
より詳細な退職金のシミュレーションを行うために、月給や勤続年数だけでなく、勤め先の退職金に関する規程を確認しておこう。
まとめ
本記事では、退職金の仕組みや計算方法、シミュレーションツールの活用方法について解説した。
退職金の計算方法は主に4種類あるため、まずは勤務先の会社がどの計算方法を規程として定めているのか確認しよう。
また、退職金の受け取り方法により、対象となる税制や社会保険制度が異なり、それに伴い退職金の手取り額も変わってくるため注意が必要だ。
前述したシミュレーションツールでおおよその退職金額を確認できるが、退職後の生活設計を立てるには、正確な計算方法をもとにした退職金額を確認しておいた方がいい。
「退職金の専門家」であるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談すると、退職金に関する専門的な知識やシミュレーションツールの活用方法が得られるため、退職後の生活設計が立てやすくなる。
しかし、信頼できるIFAをどうやって見つければいいのか、分からないという方も多いのではないだろうか。
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