競輪選手の退職金はいくら?退職給付の仕組み・税金・活用方法を解説

競輪選手として活動している方のなかには、「引退したら退職金は受け取れるのか」「金額や税金はどう扱われるのか」と気になる方もいるでしょう。

競輪選手には、選手共済制度に関連する退職給付や競輪選手年金の仕組みがあります。ただし、個別の支給額や支給タイミングは一般に広く公表されている情報だけでは確認しにくく、会社員の退職金と同じように考えない方がよい制度です。

特に注意したいのは、国税庁の個別通達では、全国競輪選手共済会が行う共済事業の退職給付は「一時所得」として扱われる点です。一般的な会社員の退職金に使われる退職所得控除とは、税金の考え方が異なる可能性があります。

この記事では、競輪選手の退職給付に関する基本情報、税金の考え方、引退後の生活設計、退職金を活用する際の注意点を解説します。

競輪選手としてのセカンドキャリアや資産管理を考えたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

競輪選手の退職金・退職給付の基本情報

競輪選手の引退時に関係するお金として、選手共済制度の退職給付が挙げられます。

経済産業省の資料では、競輪選手の競走環境を安定させるための課題として「選手共済制度(退職給付、競輪選手年金)」が取り上げられ、制度の維持・運営について業界全体で支援していくことが確認されています。

また、日本競輪選手会の2024年度決算では、「選手退職給付引当金」や「競輪選手年金給付引当金」が計上されています。これらの資料から、競輪選手向けの退職給付・年金に関する制度が存在することは確認できます。

一方で、選手ごとの支給額、平均額、支給条件、支給タイミングの詳細は、公開情報だけでは判断しにくい部分があります。正確な情報は、日本競輪選手会や全国競輪選手共済会など、制度を扱う関係先へ確認することが必要です。

競輪選手の退職給付は活動年数や制度の条件で変わる

競輪選手の退職給付は、一般的な会社員の退職金のように「基本給×勤続年数」で単純に計算できる制度ではありません。

制度の原資や支給条件には、選手会費、基金、関係団体の支援、選手共済制度の運営状況などが関係します。過去には、長期間活動した選手にまとまった退職金や年金が支給される制度が紹介されてきましたが、制度は見直しが行われてきたため、過去の金額をそのまま現在の支給額と考えるのは避けましょう。

確認すべき主な項目は次のとおりです。

  • 退職給付の対象となる条件
  • 登録期間や活動年数の扱い
  • 選手会費や掛金として控除対象になる金額
  • 退職給付と競輪選手年金の違い
  • 支給時期と必要な手続き
  • 税務上の所得区分

引退を検討している場合は、早めに制度の担当窓口へ確認し、支給見込額や必要書類を把握しておきましょう。

競輪選手の賞金収入と退職給付は別に考える

競輪選手の収入を考える際は、現役時代の賞金収入と、引退時の退職給付を分けて考える必要があります。

KEIRIN.JPの2025年級班別賞金総額及び平均取得額によると、2025年の全選手の平均取得額は1,514万5,411円、S級全体の平均取得額は2,496万406円でした。S級S班では平均取得額が1億4,481万8,048円となっており、級班によって大きな差があります。

ただし、これは賞金総額を登録選手数で割った平均取得額であり、退職給付の平均額ではありません。賞金収入が多い選手ほど現役時代の収入は大きくなりますが、退職給付の実際の金額は制度上の条件によって決まります。

「現役時代に高収入だったから退職給付も必ず多い」と考えるのではなく、制度の条件と税金を個別に確認しましょう。

退職金の支給タイミングと手続き

競輪選手の退職給付の支給タイミングや手続きについては、公開情報だけでは詳細を確認しにくい状況です。

会社員の退職金では、退職金規程に支払時期が定められていることが多いですが、競輪選手の退職給付は会社員の給与制度とは異なります。そのため、「会社員と同じように退職後1〜2か月で支給される」といった推測は避けるべきです。

引退が近い場合は、以下の点を確認しておきましょう。

  • 登録消除や引退手続きの流れ
  • 退職給付の申請先
  • 必要書類
  • 支給見込額
  • 支給予定時期
  • 税務申告に必要な書類

支給額や手続きは生活設計に大きく影響します。口頭だけでなく、書面やメールで確認内容を残しておくと安心です。

競輪選手の退職給付に関する税金の知識

競輪選手の退職給付を受け取る際は、税務上の扱いを確認することが重要です。

国税庁の個別通達では、全国競輪選手共済会が行う共済事業の退職給付および遺族給付は、一時所得に該当するものとして所得税を課税するとされています。

そのため、一般的な会社員の退職金で使われる「退職所得控除」の計算を、そのまま競輪選手の退職給付に当てはめるのは適切ではない場合があります。

退職給付が一時所得に該当する場合の計算方法

一時所得の金額は、国税庁の説明では次のように計算します。

一時所得の金額=総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)

そして、一時所得はその金額の2分の1を、給与所得や事業所得など他の所得と合計して税額を計算します。

競輪選手共済会の退職給付については、国税庁の個別通達で、退職した者が会費として同共済会に納入した金額を、その収入を得るために支出した金額として控除できる旨も示されています。

ただし、実際にどの金額を控除できるか、どの年分の所得として申告するか、他の所得とどう合算するかは個別事情によって変わります。退職給付を受け取る前に、税務署や税理士へ確認しましょう。

会社員の退職所得と混同しない

一般的な会社員の退職金は、原則として退職所得として扱われます。退職所得では、勤続年数に応じた退職所得控除があり、退職所得の金額は「収入金額-退職所得控除額」の2分の1で計算されます。

しかし、競輪選手共済会からの退職給付は、国税庁通達上、一時所得として扱われます。記事やインターネット上の情報で退職所得控除の計算例を見ても、競輪選手の退職給付にそのまま使えるとは限りません。

税金で特に確認したい点は以下のとおりです。

  • 退職給付が一時所得として扱われるか
  • 控除できる会費・掛金の範囲
  • 他の一時所得や事業所得との合算
  • 確定申告の要否
  • 住民税への影響
  • 引退後に事業を始める場合の経理処理

競輪選手は会社員とは収入構造が異なります。賞金、事業所得、経費、退職給付、年金、スポンサー収入などが関係する場合もあるため、税務面は専門家に確認するのが安全です。

退職給付を受け取る際の税金対策

競輪選手が退職給付を受け取る際の税金対策は、「所得区分を正しく確認すること」と「申告に必要な資料をそろえること」が基本です。

一時所得として申告する場合は、総収入金額、控除できる支出、特別控除額、他の所得との合算を整理する必要があります。

また、引退後に事業を始める場合は、退職給付とは別に事業所得の申告が必要になる可能性があります。開業費、設備費、広告費、外注費などの経費処理も関係するため、起業を考えている場合は早めに税理士へ相談しましょう。

iDeCoやNISAの活用を考える場合も、加入資格、拠出限度額、引き出し制限、運用リスクを確認してから始めることが大切です。節税効果だけで判断せず、引退後の生活費や資金の使う時期に合わせて検討しましょう。

退職給付の活用方法と将来設計

競輪選手は、引退後にセカンドキャリアを考える必要があります。

解説者、指導者、競輪関係団体、一般企業への転職、起業など、進路は人によって異なります。現役時代と同じ収入をすぐに得られるとは限らないため、退職給付をどう使うかは非常に重要です。

まずは、退職給付や預貯金を次のように分けて考えましょう。

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分類主な使い道考え方
生活資金引退直後の生活費、税金、社会保険料すぐ使える預金で確保する
予備資金病気・けが、家族支援、住居費、急な支出投資に回しすぎず、流動性を重視する
セカンドキャリア資金転職活動、資格取得、起業準備、事業資金使う時期と必要額を先に決める
運用資金NISA、投資信託、債券など余裕資金で長期・分散運用を検討する

退職給付を使った資産運用の考え方

退職給付を運用する場合は、生活費や税金を確保したうえで、余裕資金の範囲で行いましょう。

長期・積立・分散投資は、リスクを管理する考え方として有効です。預金、債券、投資信託などを組み合わせることで、特定の資産に偏りすぎることを避けやすくなります。

ただし、投資には元本割れのリスクがあります。退職給付のようなまとまった資金を一度に高リスク商品へ投じると、相場が悪化したときに生活設計が崩れる可能性があります。

運用を始める前には、以下を確認しましょう。

  • 引退後1〜2年の生活費
  • 税金や社会保険料の支払い予定
  • セカンドキャリア開始までの期間
  • 家族の生活費や教育費
  • どの程度の損失まで許容できるか
  • 商品の手数料・リスク・換金性

生活費としての退職給付活用

競輪選手の引退後は、収入が大きく変わることがあります。

競輪関係の仕事に就く場合でも、現役時代の賞金収入とは金額や入金時期が異なるでしょう。異業種への転職や起業を選ぶ場合は、収入が安定するまで時間がかかる可能性があります。

そのため、退職給付の一部は生活費として確保しておく必要があります。特に、税金、健康保険、国民年金、住宅費、家族の生活費などは、引退後も継続して発生します。

退職給付を生活費に充てる場合は、毎月いくら取り崩すのか、何か月分の生活費を確保できるのかを事前に計算しておきましょう。

自己投資や起業への活用

引退後に新たな仕事へ進むため、退職給付の一部を自己投資や起業資金に使う方法もあります。

例えば、資格取得、トレーナー業、スポーツ関連事業、飲食店、物販、解説・メディア活動、地域活動など、現役時代の経験を活かせる選択肢があります。

ただし、起業には初期費用だけでなく、運転資金、広告費、設備費、人件費、税金などがかかります。売上が安定するまで生活費を別に確保しておくことも重要です。

退職給付を全額事業に投じるのではなく、生活資金と事業資金を分け、融資や補助金、撤退ラインも含めて計画しましょう。

競輪選手の退職給付についての相談方法

競輪選手が引退後の生活を安定させるには、退職給付の支給額、税金、生活費、セカンドキャリア、資産運用を分けて考える必要があります。

相談内容によって適切な相談先は異なります。すべてを同じ相手に相談するのではなく、目的に応じて使い分けましょう。

相談内容別の主な相談先

相談内容主な相談先
退職給付の支給条件・支給見込額日本競輪選手会、全国競輪選手共済会、所属支部など
登録消除・引退手続き日本競輪選手会、JKA、関係窓口
税務申告・一時所得の扱い税務署、税理士
起業・事業計画日本政策金融公庫、商工会議所、税理士、中小企業診断士
生活設計・家計管理ファイナンシャルプランナー、J-FLECなど
資産運用IFA、証券会社、銀行、FPなど

退職給付の支給額や制度条件は、まず制度を扱う窓口に確認するのが基本です。資産運用の専門家に相談しても、退職給付の支給額を確定できるわけではありません。

税務上の扱いも、競輪選手共済会の退職給付は一時所得に該当するとされるため、会社員の退職金と同じ計算をしないよう注意しましょう。

IFAに相談できること

退職給付を受け取った後の資産運用については、IFAに相談する選択肢があります。

IFAとは、一般に独立系ファイナンシャルアドバイザーを指す言葉です。金融商品仲介業者として活動するIFAは、金融商品取引業者や登録金融機関の委託を受け、有価証券の売買の媒介などを行います。

競輪選手がIFAに相談する場合、次のような内容が考えられます。

  • 退職給付のうち運用に回せる金額の整理
  • 引退後の生活費を踏まえた資産配分
  • NISAやiDeCoの活用方法
  • 預金・債券・投資信託などの組み合わせ
  • 運用開始後の定期的な見直し

ただし、IFAは退職給付の支給額を決める立場ではありません。また、税務の個別判断は税務署や税理士に確認する必要があります。

IFAに相談する前に確認したいこと

IFAに相談する場合は、「独立系だから必ず中立」「相談すれば必ず増える」と考えないことが大切です。

相談前には、以下を確認しましょう。

  • 金融商品仲介業者として登録されているか
  • どの証券会社・金融機関と提携しているか
  • 相談料・販売手数料・信託報酬などの費用
  • 提案される商品のリスクとコスト
  • 特定の商品を強く勧める理由を説明してくれるか
  • 運用開始後の定期フォローがあるか

登録状況は、金融庁の「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」や金融事業者検索で確認できます。

退職給付は、競輪選手としての活動を終えた後の生活を支える大切なお金です。メリットだけでなく、元本割れリスク、手数料、換金性、税金、運用期間を確認したうえで判断しましょう。

まとめ

本記事では、競輪選手の退職給付に関する基本情報、税金、退職後の活用方法、相談先について解説しました。

競輪選手には、選手共済制度に関連する退職給付や競輪選手年金の仕組みがあります。ただし、個別の支給額や支給タイミングは公表情報だけでは確認しにくいため、日本競輪選手会や全国競輪選手共済会などの関係先へ確認することが重要です。

税金面では、国税庁の個別通達により、全国競輪選手共済会が行う退職給付は一時所得として扱われるとされています。会社員の退職金に使われる退職所得控除の計算をそのまま当てはめないよう注意しましょう。

退職給付を受け取った後は、生活資金、予備資金、セカンドキャリア資金、運用資金に分けて考えることが大切です。現役時代の賞金収入と引退後の収入は異なるため、生活費と税金を先に確保しておきましょう。

資産運用を検討する場合は、IFAやファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談する選択肢もあります。ただし、相談先の登録状況、手数料、取扱商品、リスク説明を確認し、自分の生活設計に合う方法を選びましょう。

競輪選手の退職給付は、引退後の生活とセカンドキャリアを支える重要な資金です。支給見込額、税金、使い道、相談先を早めに整理しておきましょう。

出典

経済産業省「競輪事業の持続的発展に向けた中期基本方針 中間検証」
一般社団法人日本競輪選手会「2024年度決算」
KEIRIN.JP「2025年(1月~12月)競輪選手賞金取得状況について」(公開日:2026年1月5日)
KEIRIN.JP「2025年級班別賞金総額及び平均取得額」(公開日:2026年1月5日)
国税庁「財団法人全国競輪選手共済会が行なう共済事業の給付金に対する所得税の課税について」
国税庁「No.1490 一時所得」(更新日:2025年4月1日)
厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」
金融庁「NISAを知る」
日本証券業協会「金融商品仲介業者」
金融庁「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」

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退職金の相談相手 検索サービス「退職金ナビ」を運営する。
「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンにIFA業界のプラットフォームとして、総合コンサルティング事業を展開している。

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